「世界の愛知」を作る
私自身が常日頃から強く感じていることは、各地方都市の持つ力が十分に生かされていないという事です。そして、現在の大都市制度は各地方都市で抱える様々な問題に対して迅速に対応できる体制ではありません。
愛知・名古屋が持つ産業構造は、日本全体が持つ構造と必ずしも同じわけではありません。中央集権的、画一的なやり方ではなく、地域ごとに考えることでスピーディーな問題解決能力を養うことができます。
愛知県の持つ技術力・生産力は、自動車産業の例で明らかなように、世界に通用するものです。しかし今現在、愛知・名古屋が世界的な産業都市・技術都市であるかというと、必ずしもそうとは言えないでしょう。
愛知県自身が、世界に向かって発信していくことが必要です。そのためには現在の中央集権的な都市行政ではなく、地域が中央から独立し、地方が地方のやり方で取り組んでいくことであり、それが世界に通用する愛知・名古屋を生み出し、ひいては世界に通用する日本を作っていくものだと信じています。
愛知・名古屋の良さを世界にアピールすることが必要です。そして愛知が日本の窓口になるのです。古い制度を見直し、各都市の行財政改革、地方分権を推進するリーダーとして、愛知県はその役割を果たすことができます。
中小企業にチャンスを
日本には数多くの中小企業があり、その中小企業の技術力・生産力が日本の産業を支えています。中小企業は全国で約4,326,000社あり、全企業数に占める割合は99.7%です。この中小企業を活性化せず、地域経済・地域産業の活性化はありません。中小企業が元気になることで、雇用が創出され、真の意味での景気回復が実現するのです。
そのためには現在の企業風土・産業構造を変える必要があります。個々の中小企業の努力を促す環境を整えなければいけません。現在の企業風土・産業構造では、それぞれが持つ潜在的な能力を十分に発揮することは出来ません。
やる気のある企業を大小問わず支援し、その個々の企業が主体となって技術・商品の開発に「チャレンジ」、そして、その技術や商品が更に新しい産業を生み出すという連鎖反応を生み出さなければなりません。全ての企業が平等に「チャレンジ」する機会を得ることにより、チャンスを生かそうと切磋琢磨し、良い競争力も生まれ、更なる技術力や創造力の向上も見込まれます。
企業努力を生み出すために今までとは違うやり方でチャレンジする企業を支援することが必要なのです。そのためには地域の企業を良く知る地域行政が、努力する企業に対して適切な支援をしていく制度を作らなければなりません。
主張できる個を育てる
私自身の海外生活経験から、日本人に欠けていると感じることが「自己主張」する力です。考え方の正否や、聴衆の理解・同意という結果ではなく、「主張する」ということそのものが不足しているのです。海外において認められることの第一歩は主張することです。主張があったうえで、次に中身の検証があるのです。中身が良ければ注目を集め、敬意を受けることができます。主張がないところには、存在感や敬意ということすら存在しません。
私は教育を通して、主張する術と主張するべき思いを育てたいと考えています。
主張する術を身につけるためには、初等教育の段階から積極的に討論等の授業を取り入れていくことが重要だと考えます。正否を問うばかりの教育ではなく、自分が考えることを発信できる力を身に着けることが目的です。
しかし、主張する術を身に着けるだけでは不十分です。何を主張するべきなのかということも大切です。世界というフィールドで自分たちの良さを主張することが重要です。
日本が、愛知が、名古屋が、世界というフィールドの中で存在感を発揮していくためには、先ず自分の国、街の良さを知る必要があります。
私自身が海外生活の中で、日本という国は本当に素晴らしい国であることを実感しました。それは文化・産業・自然・社会など全てにわたって世界のどこの国にも劣らない、恥じないものであると感じました。その良さを知ることが、主張するために必要な自信にもつながるはずだと考えています。